後編:検索エンジンと生成AIに、意味を正しく伝えるための設計
自社サイトのリニューアル記録の後編です。検索エンジンや大規模言語モデルにサイトの文脈を正確に伝えるためのデータ構造化と、今後の効果検証についてまとめます。
- 執筆
- shoji NKD
後編では、検索エンジンや大規模言語モデル(LLM)に対してサイトの文脈を正確に伝えるためのデータ構造化、および今後の効果検証についてまとめます。
見出しは「問い」か「結論」にし、答えを直下に置く
見出しには「はじめに」「概要」といった曖昧な単語を使わず、見出し単体で文脈が成立する具体的な文言を設定しました。検索エンジンや LLM が見出しを手がかりにコンテンツを意味の塊として解析するためです。
英語のセクション名(SERVICES、ABOUT US など)は視覚的なアクセントとして大きく配置していますが、検索エンジンや生成 AI にも意味が伝わるよう、不可視のテキストとして「AI活用支援、検索・生成AI対応、制作」といった日本語の補足を見出し要素内に含めています。これにより、スクリーンリーダーの読み上げ時にも正確な文脈が伝わります。
また、全ページを走査し、h1 から h3 への階層ジャンプがないこと、および各ページに h1 が1つだけ存在することを検証・担保しています。
構造化データは 1ページにつき単一の @graph に集約する
JSON-LD による構造化データは、ページごとに単一の @graph 配列へ集約しました。
- 対象エンティティ: 組織(Organization)、Webサイト(WebSite)、当該ページ(WebPage)、パンくずリスト(BreadcrumbList)、サービス(Service)、よくある質問(FAQPage)
- 参照関係: 同一スコープ内で定義し、互いを
@idで相互参照
会社情報などを各ノードに重複して記述せず、1箇所で定義したエンティティを参照する設計に統一することで、将来の修正漏れを防いでいます。
FAQPage には合計 57 件の Q&A を登録し、8 つのページへ適切に分散配置しました。これらは画面上の表示テキストと完全に一致させています(画面にない情報を構造化データにのみ記載することは Google のガイドライン違反となります)。構造化データと表示コンテンツを同一データソースから生成しているため、両者の整合性が崩れることはありません。
なお、パンくずリストの末尾要素(現在閲覧中のページ)からは Google の推奨に従って URL を除外しています。ページの URL 自体は同一グラフ内の WebPage エンティティに保持させています。
生成AI向けのインデックス(llms.txt)と厳密な更新日管理
LLM がサイト構造を素早く把握できるよう、/llms.txt を設置しました(2026 年 9 月 19 日時点で 16 ページ、約 5.7 KB)。ヘッダーナビゲーションの構成から自動生成され、ページが追加されれば連動して更新されます。中身のない未完成ページは除外されます。
同様に、サイトマップに載せた全 16 ページ(同日時点)にも正確な最終更新日(<lastmod>)を明記しています。この日付は構造化データ側の更新日と同一のソースを参照しており、ビルド・デプロイ時に自動更新するのではなく、コンテンツ自体を更新した際にのみ手動でタイムスタンプを改定します。実質的な変更がないまま更新日だけが最新化される事態を防止しています。
効果の検証はこれから
ここまでに記載したのは、設計と実装における客観的な事実のみです。これらの施策によって検索順位がどう推移したか、生成AIにどれほど正確に引用されるようになったかについては、公開直後である現時点では検証データが不足しています。
検索アルゴリズムや各種 AI の回答仕様は外部要因であり、自社で直接コントロールできるものではありません。設計側で担保できるのは、Web 標準やガイドラインに沿ってデータを整え、アクセシビリティを確保し、推移を定期的に観測して継続的な改善を行うことだけです。
一定期間運用したのち、アクセスやクエリに関する客観的なデータが集まった段階で、その効果(あるいは効果が見られなかった点)について改めて検証結果を公開します。
この記事で触れた点の一部(見出しの階層、構造化データ、llms.txt、サイトマップなど)は、簡易診断でご自身のサイトについても確かめられます。
編集後記
前編・後編に出てくる数字は、原稿を書く前に、あらためて公開中のページを走査して数え直したものです(いずれも 2026 年 9 月の執筆時点)。コントラスト比を調べた 1,316 箇所、構造化データの 57 件、llms.txt とサイトマップの 16 ページ。実装したときの記憶や、途中の版の数字をそのまま載せた箇所はありません。
このサイトは、生成 AI と対話しながら設計と実装を進めています。ただし、出てきたものをそのまま載せた箇所はありません。配色は計算し、表示はブラウザで確認し、JavaScript を止めた状態でも全ページを開いて確かめました。手順としては地味で、時間もかかります。
AI を使えば速く作れます。速く作れることと、確かめてあることは別です。その二つを分けて考えるという当たり前を、自社のサイトで一度きちんとやっておきたかった、というのが今回の記録です。